中国の先生や学生と話をしている中で、「大学のランキング」が大学を評価するうえで、重視されていることが分かります。いろんなラインキングがあるようですが、网大netbig
http://www.netbig.com/が「中国大学排行榜 2008(Chinese University Rankings 2008)」を公表しています。
http://rank2008.netbig.com/cn/rnk_1_0_0.htmこの種のランキングは、多くの日本の新聞や雑誌でも公表されています。この種のランキングを算出する際、統計的には、少なくとも以下の2つの問題点があります。
- 多くの異なる指標を最終的に単一な指標に集約させていく統計処理は、科学的にもおかしいといわざるをえません。身長と体重という別々の指標を集約させて、体格という新しい指標を作る難しさを考えれば、その妥当性の難しさが分かります。
- ランキング間の差は、「統計的に有意」であるか、と聞いてみたいものです。せめて、「統計的に差があるかどうか」の検定をしたうえで、ランキングを発表すべきではないかと思います。
他人が与えた「単一の価値体系」で物ごとを判断することは、自ら考えることを放棄することに等しい。偏差値の価値体系でもそうですが、それから抜け出すことがなかなか難しい。人間の多様な能力を単一の価値体系「偏差値」で評価することは、教育自体を否定することにつながるのではないかと危惧します。「国語」能力と「数学」能力は、そもそも異なる次元のデータで、それらを足し算したり、平均をとったりすることは、どれほど意味があることであるか、よく分かりません。ときには、便宜的に、ある指標でものを考えることも必要かもしれません。しかし、それは、あくまで便宜的なもので、何らかの深い意味づけを行うべきのものではない、と思います。まして、評価の基準に使うべきではないと思います。
それでも、何らかのランキングが必要でしたら、定性的な基準も含めて、多様な評価基準で総合的に行うべきと思います。